栄養食品としてのアルギニンの役割

こんにちは。東海地方のドラッグストアで薬局長として働いているちいヒロです。

先日お客様からの相談で旦那さんが食欲がなく栄養剤が欲しいという問い合わせがありました。

そのお客さんはメイバランスという栄養剤を探していたそうでとりあえず案内をしたのですが、ふとラインナップを見てみるとアルギニン配合のものもあり、こんなものがあるんだと思ったのですが何の役割があるのだろうと思いました。

他のスタッフに確認してみたのですが明確な答えをもらう事が出来なかったので、調べてみると2つの役割がある事が分かったので記事にしていきます。

まず、メイバランスアルギニン配合の商品のMeijiのホームページ内、栄養ケアクラブ 商品情報を確認してみたところ文言の一つに

『ベッドなどで同じ姿勢でいることが多い』

という文言が記載されており、もしかして床ずれを起こしている人に関係するのかなと思い調べてみると少し古い記事にはなるのですが、

『難治性褥瘡患者に対するアルギニン配合高濃度液状栄養食の使用経験』

という記事を見つけました。

褥瘡に対しての内容としてはアルギニン配合の栄養食品を投与し始めるとこれまで褥瘡に対して様々な処置を行っていたが、顕著に改善し、最終的にはポケットが完全に消失したという報告があるとの事。

アルギニンについてもう少し記載があり、

心血管系、免疫系、創傷治癒に対する影響を含む身体への多様な作用を有していることが確認されており、アルギニン補給が高齢者における創傷治癒および免疫応答(リンパ球応答)を改善する事が示唆されている。』

という記事でした。

ここでもう一つ作用として『免疫応答(リンパ球応答)を改善する』という新たな発見がありました。

そのことについて調べてみるとNPO法人PDN内の内容の一つに

『免疫賦活栄養剤、免疫調整栄養剤』

の内容が記載されていました。

免疫賦活栄養剤に添加される物質のアルギニンの内容は

アルギニンの欠乏により、T細胞の増殖抑制T細胞受容体複合体の異常が引き起こされる。生体内でアルギニンの欠乏になる原因としては侵襲腫瘍の存在により出現する未熟な骨髄細胞がアルギナーゼ1(アルギニンの分解酵素)を活性してもたらされると推測されている。

②アルギニンはインスリン抵抗性改善作用を有しており、高血糖で好中球の遊走能、活性酸素産生能、細胞貪食能の低下、マクロファージの機能(自然免疫能)も低下している方に対して血糖値の低下により、血球の機能の改善し、自然免疫能を回復させる。

細胞分裂機能の維持に必要なポリアミン(プトレシン、スペルミン、スペルミジン)はアルギニンを基質として合成される。消化管上皮を正常に保つためには上記のポリアミンが必要である事が判明しており、アルギニンは侵襲による細菌移行の阻止に働くを考えられている。

④アルギニンは一酸化窒素(NO)合成基質。NOの血管に対する作用は、血管壁の平滑筋の弛緩、血管拡張により血流の増加をもたらす。血液循環に障害があると、免疫担当細胞の遊走を妨げるとともに組織の修復を遅延させる。アルギニンによるNOの適度の供給は組織循環の改善を介して局所免疫能の改善組織の傷害からの回復を促進する。

注意点として、敗血症では、マクロファージが産生する大量のNOが敗血症性ショックに特徴的な末梢血管の拡張血圧の低下に関する事が指摘されている。そのため、敗血症やその疑いがある症例にアルギニンを強化した栄養剤は避けるべきである。

との記載がありました。

アルギニンはエナジードリンクに含まれている成分の一つとしてしか知らなかったものでしたが、栄養食品に含まれている理由について今回知る事ができたので、皆さんの勉強の参考の一つにしてみてください。

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